『Fender=王道』だけでは理解が浅い? 長年Fenderがエレキギター界の頂点に君臨している理由を解説するぞ。

Fenderと言えばエレキギター界で最も有名なメーカーだというのは皆さんご存じの事でしょう。

エレキギターを工業製品として量産化、アンプやエレキベースの開発にも成功し、最早現代の音楽シーンにおいてFenderもといレオ・フェンダー氏が残した功績っていうのは計り知れないモノがありますね?

そんなFenderなのですが、残念な事に本来されるべき評価と世間一般的な評価に大分乖離があるなと感じてます。
Gibsonもそうですけど、幻想に踊らされ過ぎているというか、本来の良さはそこじゃねぇって思う所があるので、簡単にまとめますので是非最後まで読んでいってください。

簡単なFenderの歴史

Fenderと聞いて多くの人が思い浮かべるのはストラトキャスターかテレキャスターだと思います。私もFenderと聞いて一番最初に出てくるのはストラトですし、そこについては異論ありません。マローダーとか抜かすヤツが居たら間違いなくイカれたイカした変態なので近寄らないようにしましょう。

話を戻しまして、事実ストラトキャスターがロック史に与えた影響は計り知れませんし、王道と呼ばれるのも当然と言えるでしょう。

まず前提として、Fenderは1946年にレオ・フェンダー氏がカリフォルニアで設立した会社でございます。そして1950年、世界初の量産型ソリッドボディエレキギター『ブロードキャスター』(後のテレキャスター)を世に送り出しました。

それまでのエレキギターは基本的にホロウボディ(空洞のある構造)が主流で、ソリッドボディを量産するという発想自体が革命だったんですね。さらに1951年には世界初の商業的に成功したエレキベース『プレシジョンベース』も発表してます。つまりFenderはエレキギターだけでなく、エレキベースという楽器のジャンルそのものを作った会社でもあるんですよ。

そして1954年に登場したのがストラトキャスターですね。3つのピックアップとトレモロアームを搭載した、当時としては最先端の設計で、テレキャスターよりさらに技術的に進化したモデルとして発表されました。

以降も様々なエレキギターを世に出していきます。

エレキギター界に及ぼした影響

皆さんはエレキギターの中の大まかなジャンルがどれくらいあるかご存じですか?

大半はFenderとGibsonなんですけど、例えばFenderであればストラト、テレキャス、GM/JG、ムスタング、最近だとアコスタソニックもかな? なんかが大きなジャンルですよね。Gibsonならレスポール、SG、ES、フライングV、ファイヤーバード、エクスプローラーですかね。

他のメーカーを挙げるとJacksonのディンキーやKV/RRV、ヘッドレスのSteinbergerやStrandberg、FernandesのZO-3、ESPのホライゾン辺りになるかと思います。

これらの中でそのジャンルに属するギターが多く作られているのってストラト、テレキャス、JM、レスポール、ディンキーの5つなんですね。(次点でSG、JG、フライングV辺りかな。ES-335やホワイトファルコンはセミアコの中に分類されてるし)

最早ここまで来ると製品名というより概念ですよ。レスポールに関しては事情が少々特殊なので省きますが、基本的にFender製品がベースになっているのは工業製品として理に適っていたからですね。

作りやすくて需要がある。こういう製品を生み出し続けているのがFenderであり、故の絶対王者として君臨しているわけなんですね。

Fenderの世間的な評価

Fenderに求められている需要の話で行くと、どちらかというとヴィンテージモデルに天秤が傾いているのかな、と常々感じています。これはもう昔からですね。かつてのギターヒーロー達が使っていたのも大きな要因ではありますが。

車やバイク業界もそうなんですけど、メーカーが新製品を出すと『そんなもんいらねぇ』『改悪するな昔の○○を出せ』みたいなコメントが必ず付きます。同様に、Fenderが新製品を出すと基本的にアンチコメントで溢れるんですね。私が知る限り初めから友好的に受け入れられたのはアコスタソニックくらいじゃないかな(その後の評価は大分別れましたが・・;)。まぁ私自身Fenderにそこまで興味が無いので緑保留位の信頼度で考えといてください。

あとユーザー目線での評価で言えばFenderのギターは出来が良いみたいなのをちらほら聞きますね。大体初心者~中級者くらいの人ですが。
ある程度ギターに理解力のある上級者の方になると『Fenderのギターは相性だ』みたいな感じになる傾向がありますね。なんか弾き比べてると1本だけめっちゃ刺さるギターがあるみたいな。同じストラトでもシリーズ事に結構な違いがあるので、見た目が似てても中身は別物って事は多々あります。

ヴィンテージに関しては最早良し悪しではなくロマンだと思っているので、評価という面でここについて語るのはナンセンスかな、と。

逆にショップ目線で行くと日本は敢えて言及しませんが、外国だと割と酷評されてるイメージですね。特に出荷時の調整面。これは量産品、カスタムショップ問わず良い評価を受けている事例を見た事がないです。まぁカスタムショップ製とかになると良くて当たり前みたいな部分がありますから敢えて言及してないってパターンかもしれませんけどね。

※一応補足しておくと、直接取引もしくはカスタムショップ製ならともかく、量産品に関しては調整は本来店側がやるべきものだと個人的には思ってます。工場の人間はプレイヤーと接点無いですし。
例えば自動車業界(バイクも含む)はそれが当たり前なんですよ。だってユーザーの安全面に関して最も責任を負わなければならないのは販売するディーラーですから。皆さん買った車に不具合があったら作ったメーカーではなく販売店に文句言いに行くでしょ? そういう事です。
もっと分かりやすい例を出すなら元請け下請けの関係ですね。売るのは元請け、作るのは下請けです。責任を取るのは元請けですよね? 責任を取る必要があるから下請けよりお金貰ってるんですよ?

ユーザーと直接対面するのは販売店です。当然売る側の責任としてその人に合わせてセットアップするのがプロの仕事だと思うのですがどうでしょう? 私は散々言ってますけどこれが出来ないならその店で買う必要無いですよ。その辺の中古屋ならともかく正規の楽器屋が無調整で販売しているならそれはただの転売屋でしかないですし。

実際のFenderはどんなメーカーなのか

そもそも前項で書いた通りFender(Gibsonもだけど)ってエレキギター界を切り開いてきたパイオニアな訳ですから、いつまでも昔の製品を作りたくないし企業としてのメリットも薄いんですよ。やってる事は過去の遺産(ブランド価値)を育てずに食い潰しているのと同義なので。だから本来ならカスタムショップでレリック系を、アニバーサリー的な立ち位置でリイシューモデルを出したいんです。

しかしFenderは株式の営利企業なので利益額を右肩上がりにしなきゃいけないんですね。

基本的に製品というのは出た時がピークでその後右肩下がりになります。なので新製品を開発し続けるし、そうして数が減った既存品は価値が上がっていくのが常なんですが、エレキギター界に関してはそう簡単にはいきません。

ユーザー数は減っているのに個人工房も含め競合他社は増えているし、中国や韓国、インドネシアの大手メーカーはその規模を拡大していってます。
こうなってくると目先の利益を取りこぼす=他所に流れるという構図が出来上がるので、成長戦略をガン無視して今ある手札で勝負を仕掛けないといけなくなるんですね。その結果の1つが昨今の裁判沙汰なのかなぁとも思うんですが、この辺に関しては新社長の個人的な事情とかも絡んでるので実際の所はよく分からないです。ブランド価値落としてまでそこと喧嘩する意味ある? みたいな事例が多すぎて私は考えるのをやめました。

まとめ

Fenderが長年エレキギター界の頂点に君臨し続けてる理由は、ストラトキャスターという1つの名機があるからじゃなくて、エレキギターを工業製品として量産化させる仕組みそのものを作り、一つの成功モデルにあぐらをかく事無くその後も挑戦をやめなかったからなんですよ(まぁGibsonもだけどね)。

『Fender=王道』というイメージは間違ってはいないですけど、その裏には『常に新しいことに挑戦し続けてきたパイオニア』という顔があります。
令和になった今でもFenderと言えばヴィンテージが理想で、現行機はヴィンテージを買えない人が買うモノっていう老害を一定数見かけますが、私に言わせればストラトキャスターがどんなギターか理解出来てればそんな事は言わねぇなんですよね。







ということで次回の更新ですが、ストラトキャスターの話をします。むしろこっちがメインです。ストラトキャスターの『完成度が高い』とか『出来が良い』の意味を解説するので興味ある方は是非覗いてみて下さい。