エレキギターは全部が音作りパーツ! エレキギターの各部位が音に与える影響を徹底解説
エレキギターに限らず楽器というのは音に関係ない部品が(私の知る限りでは)存在しないというのをご存じでしょうか?
ギターで言えばヘッドの形からブリッジのネジ一本まで、全部が音のキャラクターに紐づいているんですね。今回はこれらを一気に、パーツ別にまとめて解説していこうと思います。
ちなみに前提として、ギターのサウンドへの影響(クリーンや歪みといったエフェクトの話ではなく帯域的な音色の話)は一般的にインプットとアウトプットに近い方が強くなる傾向にあります。
分かりやすいのが終端のプリアンプ、パワーアンプ、キャビネット、マイク、そして皆さんが使っているイヤホンやスピーカーです。これも外側、つまり皆さんが使ってるスピーカーが一番影響力あるよってことですね。インプット側だとピッキングニュアンスや弦の影響が強いって事です。
更に電装系>金属部>木部というのもありますし、弦に接するないしはその振動の影響を広く受ける部分程サウンドへの影響が強くなるって言う事を覚えておくとこれからの話が分かりやすくなると思います。
ヘッド
ヘッド(ヘッドストック)は『ただ弦を巻きつける板』に見えて、意外と音への影響があります。特に効いてくるのが角度(ペグヘッドアングル)ですね。
例を挙げるとすれば、角度が付いてるヘッド(レスポール系に多い)は、ナットへの弦の圧力(テンション)が強くなりやすく、音の立ち上がりがハッキリする傾向にある、みたいな。
他にもヘッドの重量バランスも無視できないポイントですね。ヘッドが重いとネック全体の振動特性が変わって、サスティンや倍音の出方にも影響してきます。最近はあまり見ないですが、昔はヘッドに重石をぶら下げている人とか割と居ましたよ。私もヘッドにストラップとかアズの携帯ケース付けて演奏してましたし。
ネック
ネックはボディに匹敵するレベルで音を左右する重要なパーツになります。素材の傾向は以下の通り。
- メイプル:硬くてハリのある音、アタック感が強い。ストラト系の定番。
- マホガニー:中低域が豊かで、まろやかなサスティン。レスポール系でおなじみ。
- ウォルナット:メイプルとマホガニーの中間くらいのバランス型。ギターだと5Pや7Pの補強材として使われることが多い。
太さ・断面形状(Cシェイプ、Uシェイプ、Vシェイプ等)は演奏性への影響は勿論の事、木材の量が変わる=振動体としての質量が変わるから、間接的に音にも効いてきます。あと地味に大事なのが補強材。トラスロッドの種類やカーボンロッドの有無でネックの剛性が変わり、それがそのままサスティンの伸び方に反映されます。剛性が高いほどタイトで硬質な鳴り、低いほど暖かく揺らぎのある鳴りになりやすい、っていうのが大まかな傾向ですね。
指板
指板材はフレットの受けであることと、弦の振動を最も広く受ける部位なので木部の中では最もキャラの差が出るパーツです。
- メイプル:硬質で明るくパキッとした音。アタックが強調される。
- ローズウッド:温かみがあって中域が豊か。オイル分を含むので触感もしっとり系。
- エボニー:硬くて密度が高く、タイトで輪郭のはっきりした音。高域の伸びも良い。
- パーフェロー:ローズウッドの代替材として近年増加中。傾向としてはローズとエボニーの中間くらい。
指板のR(指板面の丸み)は主に演奏性(コード弾きか単音弾きか)の話ですが、指板材そのものは弦振動が直接触れる部分なので、音への影響はかなりダイレクトに出ます。正直ボディ材の違いなんてのは集中して聞き分けないと分からないくらいの違いでしかありませんが(フロイドローズだとほぼ影響しないし)、指板材特にメイプルとローズウッドはトーンが全然違うので素人の方でも多分分かると思います。
フレット
フレットは素材とサイズ、両方が関わってきます。
- ニッケルシルバー:温かみがあってヴィンテージ系のトーンに合う定番素材。
- ステンレス:硬くて摩耗しにくく、音の輪郭がハッキリ出やすい。サスティンも伸びやすい傾向。
サイズ面では、太くて高いフレット(ジャンボ系)は弦を押さえたときの接地面積が変わってチョーキングやビブラートがしやすく、音の伸びも良くなります。
細くて低いフレット(ヴィンテージ系)は繊細なニュアンスコントロールがしやすい代わりに、太いフレットに比べるとサスティンでは一歩譲る感じですかね。
ボディ
ボディに関しては木材や形状の他にもブリッジの影響を強く受けます。なのでボディ単体というよりも全体の集合地点みたいなイメージを持った方が正しく捉えられると思います。
一応代表的な木材の違いだと、
- アルダー:中域が豊かでバランス型。クセが少なく何にでも合わせやすい優等生。ストラトの定番材。
- アッシュ(スワンプアッシュ):軽くて乾いた高域とタイトな低域が特徴。抜けが良くてカラッとした鳴り。
- マホガニー:低域〜中低域がしっかり出て、サスティンも長め。レスポール系でおなじみ。
- メイプル:硬くて高域寄り、アタック感が強い。単体ボディではあまり使われず、トップ材(貼り合わせ)として使われることが多い。
- バスウッド:軽量で中域がフラット寄り。加工しやすくコスパ重視の量産機によく使われる。
また、ボディ形状の話だと
- 重い(密度が高い、大きい)ボディ:サスティンが伸びやすく、音の芯が太くなりやすい。
- 軽い(密度が低い、小さい)ボディ:レスポンスが早くて抜けが良い代わりに、サスティンはやや短くなりがち。
といった傾向にあります。
キャビティ
ボディ内部の空洞構造(ソリッド/セミホロウ・フルホロウ/チェンバード)を指します。空洞が多いほどアコースティックっぽい豊かな響きが乗る代わりに、爆音・高ゲインでの安定性は下がる傾向にあります。ここに関してはジャンルとの相性で選ぶのが吉。
ノイズや重量バランスもあるので安いモデルを買う時は必ず試奏しましょうね。
塗装
塗膜の厚さや種類、経年変化でも音は変わります。
- ラッカー塗装:薄膜で木の鳴りを妨げにくいとされ、経年変化(クラック等)も味になる。ラッカー自体は速乾性ですが内側が完全に乾くまで10年~20年かかるので年代物の方が需要が高い。ヴィンテージ系に多い。
- ポリエステル塗装:厚めで丈夫、耐久性重視の量産機に多い。ボディ材の癖が減りタイトで扱いやすいサウンドになる。
- ポリウレタン塗装:ポリ系だけど薄塗りが出来るので上位モデルで使われる事が多い。経年変化で枯れた感じにならないラッカーみたいな印象。
- オイルフィニッシュ:ほぼ生と言っても過言ではない。ラッカーは手入れの仕方に注意が必要ですが、こちらはそれ以外にも管理そのものに注意が必要になります。『くっころ』レベルの防御力の低さなので。
ジョイント
ネックとボディの接合方式(ジョイント)は、サスティンと演奏性の両方に効いてくる重要なポイントになります。
- ボルトオン:ネジで固定する方式。製造コストが低く、交換もしやすい。反応がタイトでネックプレートやネジの締め具合によってサウンドが変化する。私は仮締めした後一度だけトルクをかけて締めます。対角締めに関してはネックに問題が無いならどこから始めても変化はない派ですね。シム板を挟むとかなら話は変わりますけども。
- セットネック:接着剤で固定する従来の方式。ネックとボディの一体感が強く、サスティンが伸びやすい。レスポールの代名詞みたいな扱いされてるけどギターは元々セットネックである。
- スルーネック:ネック材がボディの中心を貫通する構造。3つの中で最もサスティンが伸びやすく、ハイポジションの演奏性も良いとされる。私はメイプルのスルーネックが好きです。
弦振動はナットもしくはフレットからネックへ、ブリッジからボディへ伝わってジョイント部で合流します。なのでジョイント部の密着度が高いほど振動ロスが減ってサスティンが伸びるっていう風に考えると分かりやすいですね。
重量
重いギターだとサスティンが伸びて音の芯が太くタイトなり、軽いギターだとレスポンスが早くブライトで抜けが良くなる傾向にあります。
現代人は重いとかっちりし過ぎて嫌っていう割にPEのような軽量ギターよりレスポールのような重いギターが好きっていう矛盾を抱えてますよね(偏見)。人によっては○○キロ以下のレスポールはレスポールじゃねぇみたいな。お前らPE買えよ。゚(´つω•`。)゚。
ピックアップ
PUはエレキギターの音作りにおいて、パーツ単体では最もインパクトが大きい部分になります。
- シングルコイル:音抜けが良くきらびやかな高域。反面ノイズを拾いやすい。ストラトなどは独特の鈴鳴り感がある。
- ハムバッカー:シングルコイルを2つ組み合わせてノイズキャンセルした構造。パワフルで太い音、歪みとの相性も良い。
- P-90(ソープバータイプ):ハムサイズに近いシングルコイル。高出力にしたいならデカくして多く巻けばいいよねっていう
頭の悪い発想から生まれたPU。ミドルが太いのに粒立ちが良く抜けるので、ノイズを気にしないなら非常に優れたPUでもある。他にもドッグイヤーっていうボディの上から取り付けるタイプもある。 - シングルサイズハムバッカー:通常のハムがロー寄りなのに対してこちらはミドル寄りの特性を持つ。またP-90はクランチと相性が良いのに対してこちらはハイゲインと相性がいいPUとなってます。
- ワイドレンジハムバッカー:テレキャスで使われてるイメージが強い。ハイに特性を持っているハムバッカーっていう印象で、個人的にはロックやポップスと言った明るく元気なドライブサウンドと相性がいいと感じてます。
- バータイプ(ブレード型・レール型):一般的なPUはポールピースですが、こちらは棒状で繋がってます。これによりピッチ間やチョーキングでの音量差、GAIN差が無くなりバランスが良くなります。Bill LawrenceのL-500とかDuncanのHot Railが有名ですね。
- ピエゾピックアップ:アコギなどでよく使われるPU。一般的なPUが磁石で振動を拾うのに対し、ピエゾはブリッジサドルの振動、圧力を拾います。なのでエレキギターの場合、ブリッジの金属質が混じり硬質でタイトな音になるし、木部や弦の影響を受けにくいといった特性を持つ。メリットはハウリングに強く、弦一本一本を個別で拾えること。デメリットは減衰しやすいのでプリアンプ等でブーストしないと扱いづらい点。ちなみにモデリングギターは基本ピエゾである。
- パッシブ:出力は控えめだけど、自然でダイナミクスの効いた音が出ます。ハイインピーなのでJC-120とか使う時はHIGHに刺そうね。私も昔はパッシブ信者(Duncan派)でした。
- アクティブ:電池でブーストするタイプ。出力が高く、ノイズにも強い。こちらはローインピーなのでLOWに刺す。独特のコンプ感があると言われますが、見方を変えればパッシブのバランスが悪いだけでは? っていう感じです。EMGはいいぞ。
- ヴィンテージ系:低出力で枯れた音がする。振幅が大きく出力が高くなるフロントで使われることが多い。リアもヴィンテージ系ならフロントの位置を下げ目にしてリアとの音量差を調整しよう。
- モダン系:高出力でドライブサウンドと相性がいい。基本的にリアで使われる。
他にもマグネット素材(アルニコ2・3・5、セラミック等)でも音のキャラは変わり、アルニコは温かみ、セラミックはパワフルで硬質な傾向にあるといった特徴があります。
また、巻き数やPUのスタック方法でも特性が変化するので結構奥が深いパーツだったりします。
ナット
ナットは弦がヘッド側で最初に触れるパーツで、開放弦の響きに直結する重要な要素になります。
- 牛骨:倍音が豊かでナチュラルな鳴り。ヴィンテージ系ギターの定番。
- TUSQ(人工象牙):牛骨に近い特性を持ちつつ品質が安定している合成素材。
- 樹脂(プラスチック):コストが低く、倍音の豊かさでは牛骨やTUSQに一歩譲る。
- ロック式ナット:主にフロイドローズ系トレモロとセットで使われ、チューニングの安定性を最優先した仕様。
- ブラス(真鍮):硬質なサウンドではあるモノの、金属の中では柔らかい部類なので比較的音の芯が残る傾向にある。
- ローラーナット:アーミングやチョーキングでチューニングがズレる問題を解決するために生まれた構造。材質は金属なので上記のロック式やブラスに近いサウンドになる。はず。開放弦の鳴り方がちょっと独特らしいけど私は使った事がないので何とも言えない(’
ブリッジ
ブリッジは弦振動をボディに伝える起点であり、トレモロの有無や構造で音やチューニングの安定性が大きく変わります。
- シンクロナイズドトレモロ:ストラトでおなじみのアーム付きタイプ。可動部があるぶん、ハードテイルよりわずかに振動ロスが出るとされる。ブロックの重さやスプリングの数、掛け方で特性が大きく変わる。また、ベタ付けだとボディ材の影響が大きく、フローティングだと小さくなるといった特徴を持つ。他にも裏から通すかエンドから通すかで弦のテンションを調整出来たりする。
- フロイドローズ:ロック式トレモロで、激しいアーミングに対応。構造が複雑な分セッティングの手間はかかるが、チューニングの安定性はピカイチ。ナットとブリッジが両方金属でフローティングしている事もあり、硬質でボディ材の影響をほとんど受けない。よって『フロイドローズの音がする』『スペック表から音の想像がしやすい』といった声が多く、メタル分野で絶大な人気を誇っている。当然私もフロイドローズで基本揃えている(Edge-Zero等の例外はある)。
- チューン・オー・マチック:レスポール系でおなじみの固定式。パーツ数が少なくシンプルなぶん、振動伝達がダイレクト。
- ハードテイル:アームなしの完全固定式。可動部が無い分、サスティンや音の安定感では有利になりやすい。裏通し出来るモデルもある。上記のチューン・オー・マチックとセットで使われることが多いですね。
- フローティングトレモロ:ジャズマスター等で使われているアレ。独特の鳴り感があり、これじゃないとジャズマスターの音は出ないと言っても過言ではない。こちらもチューン・オー・マチックとセットで使われる。
- ブリッジプレート:テレキャスで使われているアレ。PUを直接マウントするので金属質なサウンドが混じる。テレキャスのパリッとした感じはこれが原因ですね。ブリッジサドルやプレートのサイズで印象が変わるのでテレキャス欲しい人は気を付けてね。
- ビグスビー:セミアコでよく使われているアレ。フロイドローズのような激しいアーミングではなく、ゆりかごのようなゆったりとしたビブラートをかけるイメージですね。
- 裏通し:当たり前ですがボディ材の影響をモロに受けます。また、テンションを稼ぎやすいといったメリットもありメタラーからの人気も高いです。トレモロを使う人はフロイドローズ、使わない人は裏通しで一貫している印象がありますね。
電装系
最後は電装系。地味だけど確実に音を変えるパーツ群になります。
- ポット(ボリューム/トーン):抵抗値の違い(250kΩ、500kΩ等)でハイの出方が変わる。一般的にシングルコイル系は250k、ハムバッカー系は500kが定番とされる。ジャズマスとかが分かりやすいけど、プリセット回路と通常の回路で通るポットやコンデンサが違います。なのでこの2つでは音の印象が違って聞こえます。
- コンデンサー:トーン回路に使われる部品で、種類によってハイをカットしたときの質感が変わります。この辺はまた別の記事にて解説する予定なのでそちらを参照。
- 配線材:太さや被膜素材、はんだの種類で微妙にハイの出方が変化します。安ギターはこの辺変えるとめっちゃ明るくなる印象がありますね。
- スイッチ(PU切り替え):ピックアップの組み合わせパターンを変える部分。ハーフトーンの出方などに関わる。シリパラタップでも印象や使い方が変わるので、ある程度エレキギターの音に慣れてきたら試してみて欲しい。
- ジャック:素材やステレオ・モノラルで印象が変わる。過去にMAGNAのダイレクトジャックをステレオのオープンジャックに替えたことがあります。めっちゃ音が薄く広がる様になったのでそれ以来ほとんど使わなくなりましたね。
まとめ
こうして並べてみると、エレキギターって本当に隅から隅まで音作りに関わるパーツだらけですよね。勿論全部を一度に意識するのは難しいし、正直違いが分かる人ってそれなりに弾き込んだり比べたりしている人だと思います。逆に言えば経験さえ積めば誰でも分かるっていう話でもあるんですけどね。
エレキギターオタクの私としてはこういった違いがギターの個性であり、楽しい部分だと思っているので是非皆さんも細かな違いに目を向けてみて下さい。本当に奥が深くて面白い世界だと太鼓判を押しますのでどうぞよろしくお願い致します\( 'ω’)/








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